ここは、第3新東京市ではなく、第2東京市。
サードインパクトの犠牲者、いや直接の被害者がいる街。
サードインパクトを起こした張本人としてすべての犠牲になった青年がいる街...
青年の名は元エヴァンゲリオン初号機パイロット、碇 シンジといった...
〜 R 〜 序章
BY ゴ〜ヤ
14のとき、父親により第3新東京市に召還され、神の使い、使徒と戦った少年。
しかし、少年はただ単にサードインパクトの引き金をひいた人間、としか扱われなかった。
サードインパクト。
世界のほとんどを無に返す事になった出来事。
ゼーレという組織が望んだ結末。
一般人は望むわけもない。
サードインパクトで残ったのはシンジとセカンドチルドレン、惣流=アスカ=ラングレーの二人。
やがて人々はLCLと呼ばれる生命のスープから還って来る事ができた。
しかし荒れ果てた姿の街を見て、何も言えなかった。
還って来た人々は街を復興させるところから始めていった。
NERVに属していた人たちも還って来た。
還って来る人も段々と増えていき、元の第3新東京市のような感じに出来上がった。
街が復興されると、やがて政治が始まった。
そこで政治家達が最初に目を付けたのは『サードインパクトを起こしたのは誰か』ということだった。
政治家達中には裏でNERVにつながりのある人間も少なくなかった。
故に最初に照準が当てられたのはNERVだった。
当のNERVは幹部クラスの人間が還って来なかった為に殆ど機能していなかった。
還って来なかった人物は碇ゲンドウ、赤木リツコ、葛城ミサト、加持リョウジ、そして綾波レイ。
勿論NERVにいた人たちで還って来なかったのはそれだけではないのだが...
NERV内は自分達がサードインパクト起こした組織、と祭上げられるのを恐れた。
殆どの人間がサードインパクトを『防ぐ』組織だと思っていたためだ。
NERVは生贄を出す事にした、
愛すべき人がこの人間の所為でいなくなってしまった日向マコトを筆頭に...
直接の引き金となった人間を...
碇シンジ、彼がNERVから出された生贄となってしまった。
勿論反論グループ、── 伊吹マヤを筆頭とするものだが ── は存在した。
しかし時既に遅し、政府の判断により、極刑は間逃れたものの第3新東京市追放となってしまった。
シンジはその結果が出るまでずっとアスカの看病をしていた。
自分の所為でアスカはこうなってしまったと考えてしまった為。
せめてもの罪滅ぼしとして...
アスカが目を覚ますとシンジは自分の事の様に喜んだ。
しかしアスカはシンジの顔を見るなり殴りかかろうとした。
シンジはアスカの暴行により青痣などができてしまったが、めげずに毎日アスカの病室へと通っていた。
アスカはシンジといる時が一番生き生きして見える、と担当の看護婦は言っていた。
しかし日を重ねるごとにシンジはやつれていくのであった。
日がたち、アスカの退院が近づいてきたある日、一つの凶報がシンジに降りかかる。
この地からの追放であった。
政府の判断であったためにシンジは抵抗する事もできなかった。
実はシンジは、外へ出てもどの人からも軽蔑の目を向けられていた。
シンジは体も心もボロボロになっていた。
唯一の心の支えであったアスカの看病も取り上げられてしまうのであった...
そして、シンジ追放の前日。
アスカは初めて病院内で、シンジの前で泣いた。
「...今までゴメンね...」と、呟きながら...
アスカは、シンジが離れていってしまう、という現実を受け止めた時、
初めてそれだけシンジが自分の心の支えになっていたのかが分かったのだ。
この日、この時初めて二人の心は一つになった。
二人の二度目の口付けにより...
そして二人は別れて行った、互いに涙を流しながら。
何時か、また会えると信じて。
そして何時か一緒に...
シンジは第2東京市でも嫌な目で見られていた。
仕事を与えられるわけでもなかったので、今できる自分の特技といえば『チェロ』しかなかった。
変だろうが生きていくにはお金が必要だ、シンジはチェロでストリートライブを行なうのであった。
一応NERVから支給されていた金もあった、
しかしそれは2、3年で尽きてしまうような金額しかなかった。
シンジはどんどんとチェロの才能を開花させていった。
しかしサードインパクトを起こした犯人として世界中に報じられているので、聴いてくれる人なんて殆どいなかった。
シンジは聴いてくれる人がいなくてもチェロを弾き続けた。
何時かアスカに会える事を信じて...
シンジは一つの出会いにより自分の運命が決してしまうのであった。
最悪な結末へと...
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